カニバリゼーションに関するこれまでの知見を調べ、当初は、いかにしてカニバリゼーションを避けられたのか、どうやってカニバリゼーションを克服できたかに焦点を当てて、日本企業の事例を調べていた。
しかし事例研究を重ねていく過程で、カニバリゼーションは避ければいいものではなく、企業の長期的な発展のためには、むしろ積極的に社内にカニバリゼーションを起こし、それを乗り越えていくことの方が重要であるとの結論に至った。・・・
・・・すなわち、既存事業の擁護者にとっては、カニバリを起こしそうな新事業を潰すことには成功しても、長期的には会社を潰すことになるのである。
「事業を潰すか、会社を潰すか」―――これこそが、カニバリゼーションに直面する企業が本質的に抱えている課題なのである。
企業は吸収合併を繰り返し大きくなっていく。
巨大な企業に対抗していくためには、仕方ないことなのかもしれない。
また、時代の流れとともに新しいこともやっていかなければいけない。
例え、現在の事業を脅かすことになっても。
それらを進めていく上で避けられないものがカニバリである。
本書では、それらのカニバリをいくつかの事例にて紹介している。
カニバリは避けられない。むしろ避けてはいけない。
カニバリになりそうなものを潰すだけではいけない。
カニバリは乗り越えていかなければいけない。
カニバリは受け入れていかなければいけない。
企業としてあるべき姿がしっかりとしていれば
企業としてゆらぐことのないポリシーを持っていれば
むしろカニバリは成長するための機会にさえなる。
それができなければ衰退するだけだ。
本書はそう伝えている。
カニバリへ向き合うこと、変革していくことは
簡単なことではない。
今うまくいっていることを変えていくのは勇気が必要であり、
ものすごい努力が必要になるだろう。
けどその苦労を乗り越えてこそ、明るい未来が待っている。
本書は、そんなことを考えさせてくれた。
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